~Mots japonais originaires de France~
日本語の会話や文章の中では多くのフランス語がさりげなくつかわれています。
第一弾では下記のフランス系日本語をご紹介しました。
フランス系日本語リスト
日本語でなにげなく使われているフランス語起源の外来語。こんなにあった?
baguette 【バゲット】
encore 【アンコール】
nuance 【ニュアンス】
ensemble 【アンサンブル】
mode, à la mode 【モード】、【ア・ラ・モード】
à la carte 【ア・ラ・カルト】
café au lait 【カフェ・オ・レ】
langue de chat 【ラング・ド・シャ】
aux Champs Élysées 【シャンゼリゼ】
Notre-Dame 【ノートル・ダム】
vendange 【ヴィンテージ】(ヴァンダンジュ)

日本語になっているフランス語~その2
rouge 【ルージュ】
これは「赤」という単語です。これも英語からの2段階輸入の気がします。
フランス語の “rouge”が英語では頬紅・口紅などを指すようになり、日本でもその意味で浸透したのではないかと思っています。
シュークリーム
これは正しくはフランス語ではないのでカタカナで書きましたが、実は英語でもないです。(英語では “cream puff”)
和製英語についての記事で紹介すべき単語かもしれません。
英語の会話でもし「シュークリーム」という単語をつかってしまうと、「靴に塗るクリーム(shoe cream)を食べるの!?」と恐れられる可能性があります。和製英語の厄介なところです。
いや、これは単に和製英語というより和製仏英混合語というべき離れ業かもしれません・・・。
なぜなら「シュークリーム」の「シュー」は英語ではないからです。
じゃあ「シュー」とは何?となりますが、これがフランス語の “chou”(=キャベツ)だとは、あまり知られていないことかと思います。
キャベツと形が似ているからですね。
フランス語で「シュークリーム」のことは、 “chou à la crème” (シュ・ア・ラ・クレム)と言います。クリームが入っているキャベツ、というイメージです。
café au lait のところで触れた、《à + 定冠詞 + 名詞》のパターンです。
男性名詞の場合は à + leが “au” になり、女性名詞の場合は à + la はそのまま言う、というつくりです。後続の “crème” が女性名詞なので “au” ではなく “à + la” です。
この複雑怪奇な、名詞の性別による前置詞と定冠詞の使い分けを私たちは、”à la carte”などの語句を言うときに、知らぬ間に口にしていることになります。すごいですね。
déjà vu 【デジャブ】
実際には「déjà vu(デジャ・ヴュ)」と発音しますが、日本語では一般的に「デジャブ」として定着しています。”déjà” が「すでに」を意味し、 “vu”は “voir”という動詞の活用形で、「見た」という意味です。「初めて来たところなのにここを見たことあるような」、とか「こんな場面前に見たような」という既視感のことですね。
barbe à papa 【バーバパパ】
barbe à papaは、砂糖を加工して作られる綿菓子のようなお菓子です。

では固有名詞の “Barbapapa” は何者でしょうか?
それは、フランスの絵本作家アネット・チゾンとアメリカの絵本作家タラス・テイラー夫妻による絵本のキャラクターです。

公園で、ある子供が両親に「barbe à papa」と話しているのを聞いたアメリカ人のテイラーはフランス語が分からなかったのでその意味をチゾンに聞いたところインスピレーションを受け、「バーバパパ」のキャラクターが生まれたそうです。
フランス語を知らないアメリカ人が書いたからこんなふうに一語になったんですね。
「バーバパパ」は、日本でも誰もが一度は目にしたキャラクターではないでしょうか?
しかし、フランス語の “barbe à papa” が語源だったとは。
ちなみに、元の意味はこうです。
papa=パパ(お父さん)、barbe(バァブ)=ひげ (àは前置詞)
パパのヒゲということですね。
ところで、日本発のシュークリーム専門店に 【beard papa】(ビアードパパ)がありますね。
これも、”beard”は英語でヒゲのことなので似ていますが、ビアードパパは「ヒゲのお父さん」、バーバパパは「お父さんのヒゲ」といったニュアンスでしょうか。
sabotage 【サボタージュ」
「今日はいい天気だから授業をサボって遊びに行っちゃおう!」
というときの「サボる」の語源です。「サボる」がフランス語だったとはご存じでしたでしょうか!?
正確に言うとフランス語の「サボタージュ」は「サボる(停滞させる)」という意味の他に広義の『破壊活動・妨害行為』の意味があります。
和製フランス語に近いかもしれませんが、日本語になると動詞化してしまってますね。
haute couture 【オートクチュール】
フランス語の「haute(オート)」は「高い」「高級な」を意味する形容詞 “haut”の女性形です。
(”haut”は 単独では t を発音しませんが、”haute” では後ろに e が続くため t を発音します)
「couture(クチュール)」は「縫製」「仕立服」を意味する女性名詞です。
これらを合わせて「高級仕立服」という意味になります。
オーダーメイドの一点物の最高級仕立服ということです。
そのような高級仕立服に縁があるわけではなかった筆者も、なぜか時折耳にしたことがある言葉です。マスメディアの影響でしょうか?
avant -garde 【アヴァンギャルド】
avant-gardeは、もともとフランスの軍隊用語で、前(最前線)を衛(まもる=守る)という意味から来ているようです。 その後、アート全般、思想や政治などの分野でも使われるようになりました。
フランス語の “avant(アヴァン)”は「前」という意味、”garde(ギャㇽドゥ)”は「守り」 – 英語でいう「guard(ガードゥ)」というわけですね。
保守的・伝統的なものに対して前衛的という意味でつかいますね。
以前から、日本語の「前衛」という言葉はなぜ「前衛」というのかわかりにくいと思っていたのですが、軍隊の前線を守ることは保守的な守りの姿勢とは逆の攻撃態勢を前提としているからでしょうか?
アートの世界でも伝統的なスタイルをあえて壊して新しいスタイルを切り開く人たちは前衛芸術家と言われますよね。
surréalisme 【シュルレアリスム】

「なんかシュールな光景だな」とか言うときの「シュール」は「シュルレアリスム」を略しています。”surréalisme” は名詞で、形容詞の場合は “surreal”(シュルレアル)のようですね。
フランス語の “sur” という単語は英語の “on”に近くて「何かの上に」というような意味です。
“réel” や英語の “real”は「現実の / 本当の」というような意味なので、現実を超える「超現実主義」という翻訳は納得ですね!
「シュルレアリスム」は 1920 年代にフランスで興った前衛芸術運動の名前で、不思議な現実感を出す手法です。
既成のスタイルから脱却する「前衛的」な一つのスタイルであるといえるかもしれません。
atelier 【アトリエ】
「アトリエ」の語源はフランス語で、「木片の堆積」を意味する言葉から転じて「大工や木工の仕事場」を指すようになったと言われています。
現在では、主に画家、彫刻家、工芸家などの芸術家が作品を制作する場所や、デザイナー、職人が製作活動を行うスペースを指すことが多いようです。
日本語でも、芸術家が作業するスペースを「アトリエ」という言うイメージがありますが、芸術家といっても、音楽家が作品を制作する(作曲とか編曲する)場所はそう言わないのはなぜでしょうかね?
音楽の場合は日本語でも「スタジオ」で制作活動したりしますね。
“studio” という単語はラテン語由来であり英語にもなっていますが、もともとの意味は芸術に限らない生産活動をする場所のようです。”workshop”と近い感じです。

chanson 【シャンソン】
「シャンソンを歌う」とか「シャンソン歌手」とか言いますが、この場合たいていフランスの曲をフランス語で歌うイメージがありませんか?
なぜそんなイメージがあるかというと、「シャンソン」はフランス語だからですね。
「シャンソン」は単純に「歌」という意味です。どんな音楽ジャンルでもフランス語で会話するときは「歌」のことはシャンソンでOKです。
ちなみに、「歌う」という動詞は “chanter” 、歌う人、または歌手は “chanteur(男性) / chanteuse(女性)”です。
まだまだあふれている、日本語の中のフランス語
今回も日本語の文章・会話でよくつかわれる言葉ばかりだと思います。
探せばまだまだあるので、次回に続きます。
日本語でなにげなく使われているフランス語起源の外来語。こんなにあった? -3


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