~Mots japonais originaires de France~
日本語の文章、会話の中ではたくさんの外来語がつかわれているのは皆さんご存じの通りです。
英語、ポルトガル語、オランダ語、ドイツ語、いろいろありますが、その中にフランス語由来のものもたくさんあることをご存じでしょうか?
気づいていなくても普段どれだけのフランス語が日本語の中にあふれているかを知ると面白いと思います。

日本語の中の外来語
外来語とは和語にもともとなかった外国からの言葉が日本語としてつかわれているものを言います。
はるか昔に取り入れられた中国からの漢語由来のものが最も多いようです。
これらを見ると、
世間(セケン)」、「成就(ジョウジュ)」、「殺生(セッショウ)」、「中間(チュウカン)」、「成功(セイコウ)」、「期間(キカン)」・・・等々。
だいたい音読みの言葉ですが、すっかり同化して日本語となっているので認識するのも難しいですね。
もはや外来語という雰囲気は薄いです。
さて、他にはサンスクリット語など仏教でよくつかう言葉もありますが、西洋からの外来語も多く、カタカナ言葉の多くを占めるのではないでしょうか。
英語から来ているものも日本語の中に浸透しているものはたくさんありますね。
「アナウンス」、「ガイド」、「バランス」、「スピード」、「ゴール」、「オーケストラ」、「ハザードマップ」「アスリート」「インフラ(インフラストラクチャー)」、「ハラスメント」などなど・・・。
(※ゴールなどの英単語ももっとさかのぼるとフランス語起源のものもあります。両言語は歴史的に影響しあっているようです)
これらをつかわずに日本語で言ってみろ、と言われるとけっこう考えてしまったりしますよね。
「コネ」みたいに日本独自の省略形や和製英語も含めると数えきれないくらいあります。
一方、英語に劣らずたくさんの単語が日本語として定着しているのが、フランス語かと思います。
特に芸術、食文化、ファッションの分野で突出して多い印象です。
この記事では、日本語の中にさりげなく混ざっているフランス語に焦点を当てたいと思います。
日本語の文章・会話でもっとも多くつかわれているフランス語は?
日本語としてもっとも多くつかわれているフランス語? それは「パン」(pain)でしょう、と思っていたのですが、もともとポルトガル語の “pão”から来たようです。「パン」とも「ポン」とも聞こえますが、スペイン語でも “pan”ということでこちらはかなり日本語のパンに近い発音です。
この辺りはラテン語を親に持つ兄弟言語の共通部分なので、もっといかにもフランス語らしいものをあらゆるジャンルから次々にピックアップしてみましょう。
日本語になっているフランス語
だいたい筆者の主観的に、日本語でもっとも多くつかわれている印象のものを思いつく順に挙げてみます。
baguette 【バゲット】
フランスパンと言えばバゲットですね。しかもbaguettes(複数形)には箸という意味もあります。棒状のものを比喩的にbaguetteというのかもしれません。
encore 【アンコール】
アンコール – コンサートの後にアンコールを期待したりしますが、これもフランス語です。日本語の場合のアンコールは「もう一度」「再び」という意味でつかわれています。フランス語でもその意味でつかわれますが、「いまだに」「まだ」というような意味でもよくつかわれます。
nuance 【ニュアンス】
ニュアンス – 日本語の中でよくつかわれていますね。英語でも同じですが、フランス語由来です。
ensemble 【アンサンブル】
これは音楽でよくつかわれますね。フランス語では音楽に限らず、何かを一緒にするときにつかいます。On se promène ensemble?(一緒に散歩する?)など。
「俺とトゥギャザーしようぜ!」というならば、代わりにフランス語で「アンサンブロうぜ?」でもいいわけです。たぶん・・・。
mode, à la mode 【モード】、【ア・ラ・モード】
「モード」とは「流行り」の意味です。日本語では服飾の分野でよく使うと思います。「ア・ラ・モード」は「流行にのっている」、「流行っている」という意味ですね。
à la carte 【ア・ラ・カルト】
「ア・ラ・カルト」というと、メニューの中から料理を選ぶときにつかう言葉かと思います。
そもそもがmenu(ムニュ)というフランス語はコース料理の意味合いがあるので、いわゆる日本語で言う「メニュー」(純日本語では「お品書き」?)の中から選択するのが「ア・ラ・カルト」ということになるかと思います。
このcarte(キャㇽト)という言葉もいろいろ意味があって、日本語の「メニュー」、他にも「カード」、「地図」などの意味があります。
café au lait 【カフェ・オ・レ】
飲み物シリーズもいろいろありますが、もっとも馴染み深いものの一つがこれではないでしょうか?「キャフェ・オ・レ」みたいに言うとフランス語でも通じると思います。
café はコーヒーのことで、laitは牛乳ですね。auというのはフランス語の曲者なところで、àという前置詞とleという定冠詞がくっついた形です。名詞1 + au + 名詞2 の形で、名詞2入りの名詞1というような意味になります。
gâteau au chocolat(ギャト・オ・ショコラ)も同じ構造ですね。日本語で「ガトー・ショコラ」というのでgâteau chocolatと書いてしまいがちですが、”au”を忘れないようにしましょう。
langue de chat 【ラング・ド・シャ】
「ラング・ドゥ・シャ」は猫の舌という意味です。
langueには英語のlanguageと同じ意味もあり、舌という意味もあります。
英語でも母国語を言うのにmother tongue、なんていう表現もありますし、舌をつかった表現は似てますね。
ちなみに、日本語の「猫舌」という言葉はフランス語にも英語にもありません。
C’est trop chaud pour moi. (熱すぎます)
sensitive to hot food/drinks(熱いものに敏感です)
のように、直接的な表現をするしかないです。
aux Champs Élysées 【シャンゼリゼ】
これは誰もが知る、パリの「シャンゼリゼ」通りです。おそろしく複雑なスペルになっています。
sとÉがリエゾンでくっついて発音されます。これもフランス語の曲者なところです。
リエゾンとは・・・?
– 単独では発音されない語末の子音字が、直後に母音または無音のhが続く場合に、その母音と連結して発音される現象です。 –
あえてauxをつけたのは日本でも浸透している「オー・シャンゼリゼ」という歌の”aux”は実は à + lesの縮約形なのです、ということを言いたかったためです。(àは前置詞、lesは定冠詞複数形)
“aux Champs Élysées”は、On Champs Élysées street” みたいに「シャンゼリゼ通りで」(一緒に歩こう)という感じです。
Oh, Champs Élysées~♪のように感嘆詞のオゥ!かと思ってた方多いのではないでしょうか?私も最近までそうでした。Élyséesが複数形なので auではなく auxです。
Notre-Dame 【ノートル・ダム】
これはパリのノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Paris)という固有名詞でもありますが、もともと notre dameという2単語から成っています。英語で言うと our lady、日本語でなんと訳したものか。我らの貴婦人、要するに聖母マリアのことですね。
vendange 【ヴィンテージ】(ヴァンダンジュ】
「ヴィンテージ」という語は聞きなれていると思いますが、これもフランス語由来のようです。英語では”vintage”ですが元はフランス語の”vendange”(ヴァンダンジュ)ということで、vendange → vintage → ヴィンテージというように英語を経由して日本語になったようです。
私の推測では、
vingt (=20) + age (=年齢)→ ヴァンタージュ ⇒ ※注: 間違いです
この組み合わせで、《20年くらい長い期間》と比喩的に言っているのかと推測していました。(gは英語になった時点で発音にそぐわないから脱落したかと)
しかし、その推測は残念ながらはずれでした。
語源であるフランス語では ”vendange” だと知ったわけです。
ワイン用語のようなので、それならば年代物という意味からして、”vin d’age” みたいな組み合わせなのかなとも思ったのですが、なぜ “vend”というように “i” ではなく “e” なのかが謎です。”vin”(ヴァン)はワインという意味ですが、vendという綴りだと動詞の “vendre”(売る)を連想します。しかもなぜ “age”(アジュ=年齢)ではなく “ange”なのでしょうか? “ange”は英語の “angel”、天使ですね。
謎が深まります。天使のワイン??
でももともとは、ラテン語のブドウの収穫、という意味から来ているようなので、フランス語のスペルも変則的になっているのかもしれません。
探せば探すほど出てくるフランス語
思い出すとまだまだ出てきます。
かなり長くなりそうなので、第2回に続きます。
日本語でなにげなく使われているフランス語起源の外来語。こんなにあった? -2



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