40代、50代で実務未経験からのエンジニア転職
実務未経験で40代、50代になってから開発エンジニアへのジョブチェンジは可能なのでしょうか?

結論から言うと可能だと思います。
その根拠は?
私自身が48歳の時にプログラミングを始めて、52歳でエンジニア転職をしたからです。
ただ、20代で転職を目指すよりは苦労するかもしれません。いや、それは間違いないでしょう。
しかしそれだけの熱意があるかどうかによるので、可能性はやる気次第だといえます。やる気さえあれば決して不可能ではありません。
むしろ、20代で未経験者可の求人に採用されてから、エンジニアの仕事が自分に合わないことに気づき、やめることもあると思います。(より適性がある方向に動けば良いのでそれはそれで良いことだと思います)
興味の対象はかわってゆくもの。しかしそこに立ちはだかるエイジズム
自分はどんな仕事に適性があるか、最初からわかっていれば素晴らしいですが、長年仕事の経験を積んでからわかってきた、という人もいることでしょう。私もそのタイプです。
いろいろな経験をしてから、エンジニアの仕事は自分に合っていそうだな、面白そうだな、と思ったらそれは本当に好きなことなのであり、やりたいことを我慢することはないと思っています。
若いころは独身主義だったが、人生経験を積んでから結婚したくなった・・・。それはしたら良いのです。趣味・嗜好・主義・ポリシーは仕事経験、人間関係、環境などの影響を受け変わっていくものです。ずっと同じであるほうが少ないと思います。
ただ、上に挙げた結婚の例と同じく、転職も相手があることなので年齢が高くなると難易度があがるということは言えると思います。
日本ではややエイジズム(Ageism – 年齢主義)の傾向が顕著なため、年齢を理由に受け入れられないという傾向は強く、やりたいことが見つかるのが遅かったという後発組、または長年他の仕事をしてきたが新しい業種に興味があるので参入したい、という人にとってはつらい状況といえるでしょう。
年齢が高い = 経験が豊富 = 学習効率が高い?
しかし、私が思うに人生経験が長いからこそ、キャリアチェンジを目指すことには下記のプラス面もあるのではないでしょうか。
- 他のことを経験しているので、経験から自分がやりたいこと、またはやりたくないことがはっきりしている。
- さまざまなことを学習してきた経験があれば、すでに自分にとって効率の良い学習方法が確立されているので、習得が速い、楽しい。(ひとつの言語 をマスターした人は第二言語の習得が速いのと同じ-外国語またはプログラミング言語にしても -)
- 時間の経過とともにだんだん転職が難しくなってくることがわかるので、努力をいとわない。
- 難しいチャレンジを達成するため転職後にも覚悟が据わっている。
肝心なのは転職した後なのですが、その転職がエイジズムに邪魔されてできない、というのは悲しいではありませんか。
一方、以下のようなマイナス面もあることと思います。新しいことに挑戦する場合はデメリットを受け入れる覚悟も必要と思います。
- 実務未経験のため収入が下がる可能性が大
未経験職種であれば、新人からのスタートのようなものです。当然給料は以前の慣れている仕事より下がる可能性があります。こちらも年齢のみで評価しないでほしいと思っている以上、年齢関係なくスキルで評価されるのは、フェアなことだと思います。
前職である程度の収入やポジションがあった人にとっては少しきつい状況かもしれません。 - 新しい分野で必ずスキルアップできるかはわからない
方向転換した結果うまくいくかどうかはわかりません。自分次第の部分があります。技術面の向上とともに、職場での立ち回り方などヒューマンスキルの部分も多く、それゆえに自分次第であるともいえます。
最初は順調にはいかなかったとしても、後でチャレンジしなかったことを後悔するより良いと思います。
私の場合、すごく順調だとはまだいえませんが、前職を続けるよりはずっと自分の適性に合った仕事ができていると思います。(前職は頻繁に誰かに話しかけられる状態で集中して何かするということが難しかったですが、現職の場合、自分のペースで集中して仕事ができます) - 人一倍学習時間を確保しなければならない
世間の常識にさからって新しいチャレンジを成功させようとするわけですから、人並みな学習量では達成できないでしょう。仕事、学習、ほかのライフワーク、人付き合いなどを並行してやっていくためにはシビアな時間のやりくりが必要になります。
エイジズムとの闘い ~未経験だと想像以上に年齢の障壁は高い
今よりも経験が浅いときから転職活動はしていたのですが、いろいろな企業の採用面接で開発業務をしたいことを伝えると、「20代じゃないんだから」という言葉を何回か聞きましたし、「ご自分の年齢をもう少し考えたほうがいいんじゃないですか?」と言われたこともあります。年齢が理由であればそれをはっきり言ってくれるのはまだ良いほうかもしれませんね。年齢が理由でもそれを言わずに落とすケースも多かったのではないかと推測します。
そのような言葉を聞くたびに、新しい仕事を始めることに対して世間はなぜそんなに年齢にこだわるのか?ということを不思議に思ったものです。
今の時代、特にIT業界は流動的な印象がありますし、採用されれば一つの企業にずっといる、ということはそんなに多くないと思います。定年が65歳だとすると、それまでまだ十数年あり、定年まで勤務しないとしても決して短くない期間会社に貢献できるはずです。
未経験だから採用しないというのはわかります。まだ要求されるスキルに及ばないので不採用、それならば明快な理由です。
しかし、「20代なら未経験でもいいが・・・」ということを言われると納得できませんでした。
年齢というのは個人の属性の一つに過ぎないというのが私の考えです。その人が何歳か、というのは性別、国籍、人種、身長、体重などと同じくらいの属性だと思っています。
年齢はただの数字ではないでしょうか?ただの数字の一つにとらわれて悩む時間がもったいないので、その時間に生産的なことをしたいです。
私自身50代に入っていますが、自分が20代のころよりはるかに勉強していますし、そのころより体力が落ちているということも実感としてはまだないです。さらに前述したように学習方法が蓄積されているので、学習能力は今のほうが高いです。
若宮正子さんも81歳でプログラミングを始めたそうですね。
実力のピークというのも人それぞれなので、年齢というひとつの物差しだけで個々に違う能力をひとくくりにはできないことがわかるでしょう。
私は今の仕事よりもやりたい仕事がある状況で、年齢だけが理由でキャリアチェンジをあきらめるなんてことは、到底できませんでした。
同じ悩みを持つ方もいるかもしれないので、エイジズムをいかにして打破するか、私が実践してきたことが参考になれば幸いです。
次回は、具体的にどんな活動をしながらジョブチェンジを狙っていったかについてお話ししたいと思います。

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